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zoom RSS これからのJ-REIT〜より高度なコンプライアンスが要求される時代に〜

<<   作成日時 : 2013/03/01 14:49   >>

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コンプライアンス・アドバイザリー・パートナー  岡本展幸

(1)金融審議会ワーキング・グループによる最終報告 
 J-REIT(日本の不動産投資信託)市場が再び活況とり戻しつつある。J-REIT市場は、2011年に創設10年を迎え、翌年2012年には投資法人4件の新規上場が行われ、今年2013年も年明け早々同2件の新規上場が続いている。

 安倍新政権の誕生により、今後、さらにJ-REIT市場に追い風が吹くことが市場関係者の間では期待されている。

 一方、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」を受けて金融庁が公表した「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」に基づき、投資信託・投資法人法制の見直しに関する検討が昨年、金融審議会ワーキング・グループ(WG)により進められていた。同WGは、昨年末、2012年12月12日付で最終報告を公表した。

 同WG最終報告によれば、ライツ・オファリングや自己投資口の取得など、投資法人による資金調達の多様化をはじめ、インサイダー取引規制の導入、投資家の信頼を高める意思決定確保のための仕組みの導入など、多岐にわたり、投資法人法制について制度改正の方向性が示された。今後、WGの審議および最終報告の結果を踏まえて、関連法の改正案の提出など、2013年度中に制度整備が行わる予定である。

 2013 年1 月には、早くもJ-REIT によるエクイティファイナンスが相次ぎ、新規公開(IPO)2 件を含む6 件の公募増資が公表され、公募・売出しの総額は、昨年1 年間の実績(4,964 億円)の半分にあたる2,536 億円に達している。(出所:ARES J-REIT REPORT -Vol.39 February 2013)


(2)今後、運用会社の金融リテラシーが問われる
  今後、投資法人による公募増資をはじとしたファイナンスの増加が、上述した制度整備の進展ともに予想される。それに伴い、今後、J-REITの投資口価格に影響を与える要因の一つは、投資法人の資金調達のために実質的に采配を振るう立場にあるJ-REIT資産運用会社(以下、運用会社)の金融リテラシー(知識能力)である。
 
 そして、これからの運用会社は金融リテラシーを高めるとともに、それに見合った社内のコンプライアンス体制を整備し直すことが喫緊の課題となるだろう。

 J-REITは金融と不動産の融合と言われる。しかし、少なくとも日本における両業界の企業文化は、異なるところが多い。最近でこそ不動産業も金融業と重なる業務分野が増えてきているため、両社間の企業文化は徐々に重なる部分も出てきているのも事実のようだが、決して重なり合っているわけではない。そのような背景もあり、J-REIT業界においては、まだ、十分な両者間の融合が終了していない状況だ。

 両産業界を管理・監督している当局も、国土交通省と金融庁(証券取引等監視委員会)と異なるカルチャー(監督文化)が存在する。運用会社は、実務的にはどちらかというと後者の管理・監督の影響を強く受ける立場にあるため、「金融商品取引法」(以下、金商法)や「投資信託及び投資法人に関する法律」を主軸に、金融庁の管理・監督に重点を置いたコンプライアンス体制を構築していく必要性に迫られる。

 そのような組織的背景を持つ運用会社には、過去に金融業務を経験してきた役職員は限られており、運用会社に勤務する役職員の構成は不動産業界や不動産ビジネスからの出身者を中心に占められている。ここで述べようとしているのはどちらの業界の出身者が優れているのかといった優劣論ではない。そうではなく、不動産業界の「慣行」、「常識」、「ビジネス・センス」だけでJ-REITの資産運用業を進めていくと、こらからは、益々、コンプライアンス・リスクを顕在化させる可能性がある、ということである。

 両業界における企業文化の違いはJ-REIT市場創設時より言われていたことではあるが、今、ここでそのことを再度、思い起こし、人的構成も含めて現行の社内管理体制を再検討し、必要に応じたコンプライアンス体制の再整備を実行する時期を迎えていることに運用会社は留意する必要がある。

 J-REIT市場の創設以来、早10年が過ぎ、当初から同市場に参加している運用会社に慢心しているところは無いのか?コンプライアンス上、死角はないのか?各運用会社内で再検討してみる必要があるだろう。

(3)より高度なコンプライアンスが要求される時代に
  現行法では投資法人の投資証券は、金商法の「特定有価証券等」には該当しないため、インサイダー取引規制の対象とされていないが、今回のWG最終報告では、上場投資法人に係る投資証券の取引をインサイダー取引規制の対象とする方向性が示された。

 いよいよ、投資法人の資産運用会社もより高度な社内管理を要求される金融商品取引業者として扱われ、社内のコンプライアンス体制/態勢が今まで以上に、金融庁(証券取引等委員会)や国内外の投資家から問われることになる。

 今回の法改正が施行されることにより、監督当局から期待される運用会社のコンプライアンス体制/態勢のレベルは、より「第一種金融商品取引業者」である証券会社に近づくことになる。「第一種金融商品取引業者」とは、金商法上、一番厳格に社内のコンプライアンス体制/態勢が要求される業者だ。この重大さを認識しているJ-REIT関係者はどれほど存在するのだろうか?

 過去に筆者がコンプライアンス・オフィサーとして勤務していた頃、当局から検査を受けている時に、ある検査官が言ったものだ。「検査に入り、その企業のインサイダー取引に関する未然防止策の状況やインサイダー取引に対する役職員の意識を確認すれば、その企業のコンプライアンスのレベルが分かる」と。

 また、一方、香港、シンガポール等のアジア・リート市場との競争は、年々、激化していくことが予想される。そんな国際市場間の競争時代の中で、J-REITが勝ち残るための鍵は、海外投資家にも信頼され、理解されるJ-REITの適切な運用体制に対する「可視化」(分かりやすさ)であり、「説得」である。

 それを実現できるかどうかは、各運用会社がグローバル競争に「共通したルール」(the rules of the game)であるコンプライアンスに習熟し、いかにそれを有効に駆使して、海外市場や海外投資家にもアッピールできるかにかかっている、と言っても過言ではあるまい。

 従来から、コンプライアンスには、面倒で嫌なもの、コストがかかり収益を生まない社内の「飾り物」的な扱いを受けやすい側面が存在する。

 しかし、J-REITが、これからのグローバル競争時代を生き抜き、勝ち残っていくためには、J-REIT関係者自身が、そのような考え方を大きく転換し、より高度なコンプライアンスに習熟し、それをむしろ有効に駆使していく必要性があることを、時代は我々に提起してはいないだろうか。 (了)

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