コンプライアンス・アドバイザーの休日

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zoom RSS 一芸を極めたマジシャン

<<   作成日時 : 2014/03/17 21:14   >>

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2014年3月17日

コンプライアンス・アドバイザー  岡本展幸

 一芸を極めた者には、持論がある。極めた内容を体系的に自分の言葉で表現することができる。理論体系が出来上がっている。また、独自の信念、独自の成功体験から独特な境地を切り拓いている。

 つまり先人の分野やレベルにとどまらず、それらに独自の体験から学んだものをつなぎ合わせているのだ。学問の研究分野で言えば、「従来の言説に自分の新しい言説を加えて新たな結論を導き出している。」となる。

 ふと、そんなことが頭をよぎったのは、ある友人から数年前に送られてきた「エッセイ集」を最近、読み返してみたからだ。いいマジシャンになるための「秘訣」などが独特な語り調子で書かれている。彼は高名なマジシャンである。テレビにも良く顔を出す。
 

 その小冊子には、洒落とジョークがそこかしこに散りばめられている。軽快なテンポで話が進んでいくのも一芸を極めたマジシャンのなせる技か。

 一芸を極めた名人は高度な技術の方法を教えるのではなく、いかにしたら高度な技術を習得できるのかを説く者である。教えられる技術はたかが知れている。名人ではなくとも、そこそこ技量があれば誰でも教えられる。あるいは、それらの者が著した書物から容易に学ぶことができる。

 しかし、名人と言える最高位レベルの技術を身につけるために、その方法論を求めても万人共通の方法論は存在しない。名人から他者へと伝達できる直接的な言語的媒体は存在しないのだ。名人と生活をともにし、名人の息遣い、人生の生き方、常日頃の振る舞いや考え方などを通して、やっとその秘訣を他者が学び取れるかどうかだ。ITのエンジニアがIT技術を教えることとは異なる。

 名人の域とは、凡人が一生かかっても到底、到達できないレベルの境地であり、その秘訣を第三者が学ぶことは決して容易なことではない。

 だから名人の言う言葉は、初心者には軽く、名人をめざす域に達している上位者には重く感じられるのである。

 まず、名人の同じ言葉を聞いてその言葉の真意が理解できるかできないかで、最初のふるい分けが自然になされる。しかし、名人の言葉の真意を悟ってからが本当のいばら道がはじまる。禅問答のように聞こえようが、いかなる分野でも最高位に達した者の言葉は、軽く、そして重いのである。軽いとは分かりやすいのである。初心者でも分かる。

 問題は「分かる度合」である。初心者は、「なんだ、そんなことか。」と安易に納得してしまう。中位者は、「やはり、そうなのか。」と膝を手で打ち、今まで自分が歩んできた道のりを振り返り、歓喜する。上位者は、これからまだ歩んでいかなければならない道のりを悟り、「なんと先は長く、険しいものか。」と身震いするのである。

 彼が「エッセイ集」の中で綴る、巧妙で軽い調子の語りの中に「名人の息吹」を感じたのである。(了)

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